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ウンディーネ

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ドイツのフーケ作「ウンディーネ」を読みました。

ウンディーネとは四精霊(四大)、火のサラマンダー、風のシルフ、地のノーム、そして水を司る精霊がウンディーネです。
四精霊は、アリストテレスの四元素説を下敷きに、錬金術師パラケルススが提唱した擬人化された元素のことです。

古来、人類は自然のあらゆるものに生命が宿ると信じていた。
日本人も山や海、川などに様々な神が宿ると信じていましたよね。
様々な土地でその地それぞれの生命が言い伝えられています。

ウンディーネは一般に女性として擬人化されており、恋物語などが数多く伝わっています。
彼女は心を持ちません。
だけど、恋をするとその身体に心を持った魂が宿るといわれています。
しかし、夫に水の上で罵倒されると元の棲家、水の中に戻らなければなりません。
そして、夫が不倫するとウンディーネはその夫を殺さなければなりません。

フーケの「ウンディーネ」はこの伝説を元に書かれています。
文豪ゲーテもドイツの真珠と絶賛した名作で、この小説を原作に戯曲化されたり、バレエやオペラ、クラシック音楽、現代音楽、絵画など様々な題材に使われています。

フーケの書くウンディーネは、湖のような青い瞳と輝くブロンドの美しい少女。

彼女は子供をなくした老夫婦のもとに現れ養われます。
悪霊が出る森に囲まれた湖のほとりに住むウンディーネたちの家にあるとき森に迷った騎士が訪れる。その騎士とウンディーネの恋物語が明るく、そして次第に情熱的に語られる。
相思相愛になった二人は導かれたように訪れた司祭の祝福で結婚します。
しかし、騎士に恋する別の女性が現れます。あることをきっかけにウンディーネと騎士はその女性と共に暮らし始め、騎士は人間であるその女性に心を引かれ始めてしまう。
ウンディーネもそのことに気づくが、騎士の心を大切にするあまり口を出せなくなっていく。
あるとき三人で川を旅している最中に騎士との関係を良く思っていないウンディーネの一族の者が邪魔をし、精霊であるウンディーネに不信感がつのっていた騎士は船上でウンディーネを罵倒してしまう。
騎士の元を去ったウンディーネは心を持ったがゆえに悲しみにくれながら日々を過ごしていくことになります。
騎士も取り返しのつかないことをしたと悲しみにくれますが、次第にその気持ちは薄れていき、ウンディーネが去った後も一緒に暮らしていた女性と結婚をしてしまう。
そして結婚式の夜。
ウンディーネは再び騎士の元に現れると、騎士は自分の運命を悟ります。死に行く体で騎士はウンディーネを心から愛していたことを思い出し心臓が止まる前に接吻をして欲しいと告げて彼女の腕に抱かれながら、息を引き取ります。

騎士の死後、その墓には泉が湧き墓標を抱くように流れ出しました。

今で言えばファンタジー物語だけど、登場人物たちの心がとても情感豊かに書かれています。
フーケは特にその感情をいかに表現するかに重点を置いて書いたのではないでしょうか。
その上、情感を表すために無駄に長い文章にならない様にしっかり計算されていて、必要ないと思われる部分はバッサリと割かれていたりと、テンポ良く読むことが出来ます。
読み終えた後はなんだか心が温かい気持ちになれました(^^♪
by nen_randir | 2011-02-19 23:47 | 読書 | Trackback | Comments(2)